研究概要 |
本研究は,改正倒産法における担保権の処遇に着目し,(1)担保権消滅請求制度,(2)商事留置権の消滅,(3)担保権実行の中止命令,(4)倒産手続におけるり一ス契約の取扱いという4つのテーマを取り上げ,5名の研究者が密接に議論を積み重ねながら,倒産手続における「実体権の変容」を切り口として,「手続横断的」かつ「比較法的な視点」からの共同研究を行い,その集約として,新たな倒産法制の全体構造の中での倒産法制における担保権の処遇についての全体像を描き出すことを目的とするものである。 研究初年度の平成19年度においては,まず各テーマに関する論考等を参照しつつ議論動向の精査を行うとともに,関連する外国法の文献等の収集作業を行い,主要な論点を抽出したうえで,5回の検討会を開催し,検討・意見交換を行った。具体的には,(1)に関しては,担保権の不可分との関係,財団への組入れの根拠,非典型担保への適用等,(2)に関しては,商事留置権と他の担保権との優先関係,手続開始後の留置的効力の有無等,(3)に関しては,担保権実行中止命令の発令要件相互の関係,非典型担保への適用の可否,(4)に関しては,担保的構成を前提とした場合の担保目的物(所有権or利用権),倒産解除条項との関係等につき,検討を行った。 現在は,これらの議論の結果を踏まえ,さらに新たに生じてきた問題点についての考察を進めるとともに,諸外国における議論状況についての調査もあわせて進めているところであり,本年9月には概ねの骨子を固め,研究成果の公表に向け原稿の取りまとめを行っていくことを予定している。
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