研究課題/領域番号 |
19530082
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岩志 和一郎 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (70193737)
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研究分担者 |
鈴木 博人 中央大学, 法学部, 教授 (90235995)
高橋 由紀子 帝京大学, 法学部, 准教授 (30248918)
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キーワード | 民法 / 児童福祉法 / 親権 / 面接交渉 / 少年援助 / ドイツ / 児童虐待 |
研究概要 |
平成19年度には、9月にドイツ・ミュンヘン市で、3月にはハンブルグ市で現地調査・インタビューを行った。ミュンヘン市では、家庭裁判所と児童福祉当局(少年局)を中心として訪問調査を行った。同市では、2000年代に入って、司法(家庭裁判所)と行政(少年局)、それに加えて民間力の連携を推進し、相互にその役割分担や諸種の事態への対応について相互に協定を結ぶことで、児童保護に機能的に対応してきている。今回の調査では、2名の家庭裁判所裁判官、少年局、手続保護人協会、面接交渉介助施設、ミュンヘン大学家族法担当研究者から、ドイツ全体の枠組みと、ミュンヘン市独自の取り組み関して種々の知見を得た。とくに少年局は、子の福祉に危険が生ずるおそれがある場合には、積極的に家庭裁判所に対して危険回避のための決定を行うよう職権の発動を促し、また児童福祉の民間団体との個別の協定を通じて、子のケアや家庭養育、親の教育など多種にわたるプログラムを供給してきている。このような少年局の積極的な仲介によって、子の福祉の確保が効率よく、また個々の要保護児童や問題家庭の必要に応じた対応が可能となってきている。この点については、司法によるリードを主張する者から行き過ぎを懸念する声も無いわけではないようである。しかし今回の調査では、ミュンヘン方式について、家庭裁判所の裁判官の側からも連携は必要であり、裁判官自身も少年局や民間団体の検討会や研究会に積極的に参加するようにしているとして、高い評価が示された。 ハンブルクでの調査については、実施時期との関係でまだ十分な整理は進んでいないが、各機関の連携は十分とは言えず、ドイツ国内での取り組みに温度差があることがわかった。またハンブルクで始まった「赤ちゃんポスト」などについても、その実態を調査することができ、有意義であった。
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