「金融商品取引法における業者の行為規制と民事責任」をテーマとして、金融商品取引における民事救済のありだけでなく、市場の健全な発展および投資家が自己意思に基づく判断を適切に形成さるための方策を提言する。業者の行為規制はそのための市場整備であり、行為規制に係る問題点の指摘を行なうとともに、具体的な条文運用をこれまでの判例・学説を検討したうえで提示する。これらは、下記出版物で、研究成果として一定の範囲で公表している。また、多くの裁判で私の本・論文が使われている。とりわけ、継続的な金融商品取引における専門業者の民事責任を信認関係の観点からとらえ、専門業者が負う具体的責任の範囲を明確にすることが目的である。また、投資家が損害を被った場合、過失相殺の割合範囲の根拠についても考察する必要がある。そして、専門業者および投資家が信認関係を有するなかで、どのような取引態様を構築していけば専門業者は免責されるのかという「セーフハーバー」規範を提言している。ぐたいてきには、(1)誠実義務・善管注意義務・忠実義務、(2)取引態様の事前明示義務と説明義務、(3)虚偽告知・断定的判断の提供等の禁止、(4)不招請勧誘・再勧誘の禁止、(5)利益相反取引の禁止、(6)適合性の原則、(7)手数料の開示義務、(8)米国ERISA(法)についても考察し、投資家保護の法理である忠実義務、注意義務または慎重(合理性)義務、慎重投資義務、慎重人原則、慎重投資家(合理的投資家)原則、分散投資義務の内容を検討した。
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