投資が身近になり、証券会社だけでなく、銀行でも様々な投資商品(以下、金融商品)を扱っている。投資は決して「欲がある者」の経済行為ではないのですが、その「前提・入り口」である証券会社、銀行などの金融機関およびその営業担当者(以下、「専門業者」)が負う金融商品取引法の行為規制=勧誘規制が全くといっていいくらい一般には知られていない。そこで、専門業者が負う金融商品取引法の勧誘規制を検討し、専門業者の責任を考察した。 金融商品取引法(以下、括弧内の条文は、金融商品取引法を指す)は、(1)法の適用範囲を横断化、(2)投資家保護ルールの柔軟化、(3)縦割型の専門業者規制の廃止、(4)参入要件の専門業者規制の柔軟化、を目的に立法化された。そこで、具体的には、金融商品取引法の勧誘規制を概観すれば、(1)誠実・公正義務(36条等)、(2)広告の規制(37条1項)、(3)契約締結前の書面交付(37条の3)、(4)適合性の原則(40条)、(5)不招請勧誘の禁止・再勧誘の禁止(38条3号・4号・5号)、などがある。また、プロ・アマ投資家として、(1)一般投資家へ移行できない特定投資家(2条31項1号〜3号)、(2)一般投資家へ移行できる特定投資家(同4号)、(3)特定投資家へ移行できる一般投資家(34条の3、34条の4)、(4)特定投資家へ移行できない一般投資家に区分される。これは専門業者と投資家との情報格差などから、保護のあり方に差異が設けられた。プロ投資家とアマ投資家の違いは、資産規模などにより区別される。そこで、これら行為規制について、立法経緯・趣旨、民事責任の要件、問題点、具体的適用の立証方法について、比較法的に考察した結果得られた研究成果を以下の雑誌論文で公表した。また、現在、当該テーマの単著およびコンメンタールを執筆中である。さらに、ライブドア事件鑑定意見書等(平成18年(ワ)11635号、14512号、19657号、28790号、平成19年(ワ)12156号)の提出、経済産業省のヒアリング調査を受けた。
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