二年計画で遂行する本研究の一年目ではEUにおける庇護政策および難民法の動向を明らかにしたが、そこでは、EU全体として難民受け入れの負担を軽減するためにEU外の第三国に対しても働きかけが行なわれ、影響が与えられていることも調査できた。そこで、二年目である本年度は、そのことを踏まえて、アジアの難民受け入れ国の動向についての調査を行なった。文献および日本国内での聞き取り調査により、難民受入国として、日本、タイ、韓国の動向を調査することが必要との認識を得るにいたった。その中でも、韓国について特に調査するために現地調査を行ない、韓国Kyung Hee大学The Graduate Institute of Peace StudiesのActing RectorのGibung Kwon氏およびKorea大学Institute for Peace Studiesの元教授のYoung-Dahl OH氏を訪問し、現在の日本と韓国における難民問題に関して意見交換を行ったが、その結果として、北朝鮮問題という点では大きく異なる日本と韓国の難民問題も、その他の側面では、現在国際的な圧力を受けてこれまでの消極的な態度からの変化が模索されている段階であることなど、非常に共通点が多いことがわかった。そこで、日本と韓国が国際的な難民状況にある程度共通認識をもち、研究者間でもお互いの情報交換を行なうことについての重要性を確認し、今後のネットワーク作りの第一歩を築くことが出来た。韓国語による論文なども収集したのでそれらをふまえて現在成果を論文およびHPで公表すべく準備中である。
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