研究概要 |
本研究プロジェクトについては、昨年度既に日本の学会(日本平和学会2007年6月、早稲田大学)で報告したことから、本年度は、ドイツにおいて関連する報告を行った。2008年8月、オスナブリュック(ドイツ)で開かれた日独社会科学学会(German-Japanese Society of Social Sciences)において、非軍事紛争解決政策とは裏腹の関係にある軍事化の問題について、日本との比較の観点を盛り込みながら報告した。ドイツにおいても、こうした観点からの日独比較研究はなく、出席者から好評を博しいろいろな質問を受けた。なお、近著Die Remilitarisierung Japans nach1945(Bonn,2009)では、ドイツの軍事化政策の問題に、ごく部分的ながら言及している。 また、「国際平和業務センター」(ベルリン)などの政府機関や在野のNGOを訪問し、民間人国際平和活動協力員のために行っているトレーニングの成果と課題について知見を得た。グローバル化の試練、地球温暖化、世界各地で多発する危機や紛争といった外交政策上の諸課題に対して、非軍事的なアプローチの重要性と有用性を改めて確認することができた。ただし、一連の調査は、昨秋来の世界的な金融危機以前に実施したため、その後、情勢認識や非軍事紛争解決政策の方法論に変化が生じているのかどうか、最終年度に当たる来年度は、その点も含めて調査を行いたい。
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