研究課題/領域番号 |
19530112
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
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研究分担者 |
臼井 陽一郎 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (90267451)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
中北 浩爾 立教大学, 法学部, 教授 (30272412)
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キーワード | 国際党派連合 / 欧州政党 / 超国家ガバナンス / 制度化 |
研究概要 |
今年度がプロジェクト最終年度であり、概念枠組と実証研究の総合に力を注いだ。理論上の焦点は国際党派連合が発展する(もしくは発展が停滞する)条件にしぼり、研究代表者のデイが国内外の学会で報告(4月にはMidwest Political Science Association(MPSA)で、7月にはthe International Political Science Association(IPSA)で発表、6月の比較政治学会(京都大学)ではパネルを設置した)、有益なフィードバックを得ることができた。本プロジェクトの比較対象地域はヨーロッパとアジア太平洋である。ヨーロッパ方面では2007年に行われたEUの欧州政党規則の変更に注目、欧州政党発展の制度的促進要因とともにいぜんとして残る政治的阻害要因について検討した。前者については、各国国内政党と欧州政党の機能的結合のレベルを向上させる制度上の機会がたしかに見受けられるものであったが、後者の各国国内政党の反応の悪さ(reluctance)については、いぜんとして欧州政党発展の基底的な阻害要因であると結論づけざるをえなかった。アジア太平洋地域にもメンバーを擁するグローバルな国際党派連合についての検討でも、そうしたいわばトランス・ナショナルな政党組織と国内のメンバー政党との関係の密度を検討のポイントにすえた。近年にいたるまでアジア太平洋地域での国際党派連合の形成・強化の機運は微々たるものであったが、その発展の萌芽については、たしかにここ数年の動きの中に見いだすことができた。ICAPP(アジア政党国際会議)の活動が一つ、もう一つがCALDとCDIアジア太平洋の動きである。ただし以上のいずれもその発展の経路を確たるものにするにはいたっておらず、いまだ時間がかかるといわざるをえない。なお、本プロジェクト開始当初は視野に入ってこなかった知見として、政党組織の国際的な制度発展についての理論的な視点が、実はコスモポリタン・デモクラシーの規範モデルを捉え直す想定例としても理解していくことができるのではないかという示唆を得ることができた。
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