研究課題
国家と市民社会とを対立的にとらえる、従来の政治理論における主流の見解は、グローバル化した現在においてどのように評価されるべきか。とりわけ、市場の役割が大きくなりつつある今日、国家に固有の機能を再定義することが求められるのではないか。こうした問題設定にもとづき、本研究では、政治理論や現代政治分析における最新の理論動向を総合しつつ、研究を進めてきた。その具体的な成果は、当初の計画通り、2008年6月に刊行された、日本政治学会の学会誌『政治学年報』における特集という形で結実した(尚、編集上の都合から、研究代表者の論文のみは次号に掲載された)。そこでは、フランス革命が労働をただちに個人化したわけではなく、国家の後見的な役割はなお期待されていたことや、19世紀フランスの思想家トクヴィルの思想が、市場と国家の関係について考える上で示唆をもつことなどが思想史的に解明された。また、今日的課題との関連でいえば、女性の地位を高める上で、国家が抑圧的機能と共に解放的な機能ももちうることが明らかになった。さらに、国家による強制という側面をもつ法が、なお重要な機能を果たしていることを考えれば、法的なものの意義を再確認すべきであるということも示された。これらの諸論文、および関連するいくつかの論文を通じて、国家・市民社会・市場の相互関係について、これまでより一層複眼的かつ多面的な分析の方向性が示されたといえる。すなわち、諸要素がそれぞれに有する両義性が確認された。
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情況 2009年3月号
ページ: 188-193
世界 2009年3月号
ページ: 187-193
法政理論(新潟大学) 41巻2号
ページ: 14-40
創文 516号
ページ: 29-32
思想 1012号
ページ: 81-102
イギリス理想主義研究年報 第4号
ページ: 27-34
年報政治学 2008年度第2号
ページ: 166-181
年報政治学 2008年度第一号
ページ: 11-36
ページ: 61-81
世界 20080400号
ページ: 113-121
ページ: 143-168
論座 2008年10月号
ページ: 194-199
思想地図 第2巻
ページ: 115-142
ページ: 82-108
ページ: 37-60