研究概要 |
平成19年度は、第一に、生活クラブ生協のリーダー層に対するヒアリング調査を行い、アンケート対象や項目を確定するための予備作業を行った。またヒアリング調査の結果を踏まえた上で、「地域政党の制度的基盤と集合行為のジレンマ-神奈川県の生活クラブ運動グループに関する事例を中心に-」を題とする論文(査読論文)を『市民社会とNPO』(2007年11月)というジャーナルに掲載した。この論文では、生活クラブ運動グループに属するNPO間のネットワークに埋め込まれているソーシャル・キャピタルが醸成される過程を解明し、そのようなソーシャル・キャピタルが大規模な政治活動における集合行為のジレンマの解決過程において果たす役割を論じている。さらに、平成19年度の科研費をいただく前までの生活クラブ運動グループに関する研究成果をまとめ、2008年1月に『日本の市民社会におけるNPOと市民参加』(慶應義塾大学出版会)を出版した。第二に、「生活クラブ生協連合会」と「参加型システム研究所」の協力(委託契約による協力)を得て、2008年3月に横浜市と川崎市の生活クラブ生協組合員を対象とするアンケート(郵便調査)を行った。調査標本は3,995名であり、回収率は2008年3月31日現在20%である(今回の調査はパーネル調査の第1回調査であるので、1,000名以上のサンプルを確保することが必要になると考え、回収率を30%までに上げるために、4月に追加調査を行う予定である)。調査内容は、日ごろの生協内の組合員活動や政治参加の状況、そしてソーシャル・キャピタルの蓄積状況などである。この調査に関する分析は2008年度4月から行う予定であり、生協の制度のあり方と組合員活動がソーシャル・キャピタルの醸成に影響を与えるメカニズムに関する研究発表を2008年度の日本NPO学会などで行う予定であり、ジャーナルにも発表する予定である。
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