研究概要 |
平成20年度は、第一に、2008年3月に行った横浜市と川崎市の生活クラブ生協の組合員を対象とした郵便調査(標本:3,995名、回収:864名、回収率:21.6%)の結果を分析した。その分析結果などについては、「2008年度第3回NPO研究フォーラム」(於:大坂大学、2008年6月22日)で発表を行った。この発表では、第一に、生活クラブ生協内の小規模の組合員活動がソーシャル・キャピタルの醸成に影響を与えることで福祉関連のNPOの立ち上げや運営に肯定的な影響を及ぼしていることを明らかにし、第二に、生活クラブ生協内の小規模の組合員活動がソーシャル・キャピタルを醸成することにより、集合行為のジレンマを自発的に克服した市民参加のタイプを増進していることを明らかにしている。第二に、日本のローカルガバナンスの現状と課題をテーマとする報告を韓国の国際学術シンポジウムで行った(新羅大学マリーンバイオ産業化支援センター、2008年11月10日)。この発表では、NPOと地方自治体との協働事業がNPOによる市民活動の増進に貢献しない事例に注目し、自治体からの委託事業への依存度がソーシャル・キャピタルの醸成機関としてのNPOの機能低下に影響を与える要因となっていることを指摘している。これまでの研究成果をさらに発展させるために、本年度は生活クラブ生協の組合員を対象とする第2回郵送調査(パネル調査)を行う予定である。また、郵送調査に関する分析結果や発表の成果は、『生活協働組合研究』や『生協総研レポート』などのジャーナルに投稿する予定である。さらに、本年度は愛知県における非営利組織活動の現状と課題についてのヒアリング調査を行い、比較学的な観点から、神奈川県における協同組合型の非営利組織と市民参加との相互作用のメカニズムについての研究を深めていくことにしたい。
|