研究課題/領域番号 |
19530122
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
高橋 進 龍谷大学, 法学部, 教授 (30136577)
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研究分担者 |
坪郷 実 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (20118061)
石田 徹 龍谷大学, 法学部, 教授 (50131313)
畑山 敏夫 佐賀大学, 経済学部, 教授 (10180887)
小堀 眞裕 立命館大学, 法学部, 教授 (70253937)
神谷 章生 札幌学院大学, 法学部, 教授 (60269719)
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キーワード | 9.11 / 市民社会 / 社会邸排除 / ヨーロッパ社会モデル / 社会的包摂 / 貧困 / 移民 |
研究概要 |
本研究は、米国と西欧における9.11以後の社会的排除と市民社会の対抗に関して、市民的自由の制限、移民・福祉国家、防衛的ナショナリズムを「閉ざされた社会」への変容として分析し、これへの市民社会の対抗によるデモクラシーの新たな質への挑戦と模索を研究内容としていた。福祉国家の変容については、福祉国家の基底にある欧州社会モデルがグローバル化下での雇用戦略の変容の中で危機にあり、新たなモデルを模索中であることが明らかになった。また、デモクラシーのあり方に関しては、市民自治体や市民参加、住民投票などの直接民主主義が西欧において様々な形で量的・質的に拡大し、新たなデモクラシーの萌芽が生まれつつあることを明らかにした。移民問題と社会的排除については、フランスやイタリアにおいて暴動や住民間の衝突という形で政治・社会問題化したが、統合と包摂は進まず、「異なるものの排除」が「防衛的ナショナリズム」の台頭とともに進行している状況が明らかになった。同時に、米国を含めて各国が様々な方法で市民社会強化戦略に取り組んでおり、社会的企業や協同組合、環境保護、社会福祉、文化など諸分野における市民活動の活性化、地域における「公共空間」の形成と活性化が着実に進んでいることが明らかになった。しかし、市民的自由の侵害や制限は、9.11直後と比較して若干緩和されつつあるが、「安全な社会」願望を優先される状況にある。以上の点では西欧と米国は類似状況にあるが、EU拡大問題と相まって、平等と連帯を基本理念とする欧州社会モデルの維持、イスラム世界の承認と共存の追求という点では、西欧は米国と異なる道を模索していることが明らかになった。
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