平成22年度は、平成21年に現地で調査を行ったスウェーデンのEU議長国担当についての研究を進めた。現地において収集した各種資料や関連文献に加え、その後入手した資料や文献を用いて、日本では研究されることの少ない、スウェーデンにおけるEU議長国担当に向けた事前準備状況、議長国担当時の会議開催状況、会議の結果、他国からの評価、スウェーデン国民の反応等を考察し、執筆した学術論文を公刊した。 また、平成22年9月にスウェーデンにおいて4年ぶりの総選挙が行われたため、選挙期間中に現地に赴き、複数都市を回って各党の選挙活動や選挙報道を調査し、EUに関わる問題がどのように扱われていたかを考察した。特に、各党のマニフェスト、マスメディアにおける議論、与野党間での対立軸と国民が関心を持つ争点について分析を行った。現地において収集した各種資料や関連文献を用いて、選挙運動および選挙結果を分析し、与党であった右派・中道4党が勝利し、移民排斥を唱える政党が躍進した背景を明らかにする学術論文を執筆し公刊した。今回の選挙では争点が国内政策に集中していたこともあり、EUに関する議論はあまりなされなかったが、議論の少なさについてマスメディアで問題として提起されていた。 学術論文を発表する予定であった、1980年代におけるスウェーデンとECの関係およびスウェーデンの対EC政策に関する研究については、平成22年度の研究結果を踏まえて、平成23年度中に論文を執筆し、公刊する予定である。
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