本年度(平成19年度)は本研究の初年度にあたるため、(1)米国ムスリム全般に関わるもの、(2)米国大統領選挙の推移に関わるもの、(3)米国の中東政策および中東情勢に関わるものの3側面に分類し、書籍、雑誌論文、公刊資料集等研究に関連する文献の収集と情報整理を第一義的に進めた。 また、時事的な内容に関するものはインターネットを活用し、ウェブ上で入手可能なデータの収集と整理をおこなった。本研究に関連する、(1)米国での主要なニュース、(2)国内・国際政治を扱う研究所、(3)米国ムスリムの諸団体を中心とする各種のデータを丹念に収集し、インデックスを付けてパソコンに収録して簡便なデータベースを作成しつつある。 海外研究出張に関しては、平成19年8月末から9月初頭にかけて、米国シカゴ市内のコンヴェンション・センターで開催される北米イスラーム協会(ISNA)全国大会に出席し、同協会関係者とのインタヴューおよび資料収集等を行った。さらに、平成20年2月に、米国ロサンゼルスのイスラミック・センター、サンディエゴのイスラミック・センター、およびMPAC、CAIR San Diegoなどの米国ムスリム関連組織を訪問し、関係者とのインタヴューおよび資料収集等を行った。 現時点では、上記のように収集した各種の文献および情報の整理と評価に取り組んでおり、まとまった形での研究成果の報告には至っていない。ただし、暫定的な評価としては、前回の2度の大統領選挙(2000年および2004年)における米国ムスリムの政治的活動と比較すると、今回大統領選挙での米国ムスリムは、個人および組織ともに、政治的活動がやや不活性との印象を受けている。ただし、今年(平成20年)は、大統領選挙の本投票が行われる年であり、投票の11月に向けて本研究の研究対象として興味深い米国ムスリムの政治動向が観察されるものと思われる。
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