(1)本研究は、北欧と冷戦の関わりを北極圏地域という地理空間の中で捉え直し、右地域が米ソ間の冷戦構造にどのように組み込まれ、変容してきたのかを解明することにある。具体的な研究対象は1947年から53年のいわば冷戦が「本格化」(トルーマン宣言)、「制度化」(NATO創設)していく時期に、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの外交・安全保障政策、とりわけその基地・非核政策がどのように形成されてきたのかを実証的に考察する。 (2)本研究はマルチアーカイバルなアプローチによる分析手法を採用、このため年度毎に米国、アイスランド、ノルウェー、デンマークの国立公文書館で外交文書等の一次史料の調査を実施する。内容的には大きく二段階に分け、前半の2年間でアイスランド・グリーンランドに対する米軍基地設置を主眼とする「防衛協定」、後半の2年間はノルウェー、デンマークのNATO加盟交渉とソ連の反応、対ソ信頼醸成措置としての基地・非核政策の形成について考察する。
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