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2009 年度 実績報告書

貨幣的均衡の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530148
研究機関東京大学

研究代表者

神谷 和也  東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50201439)

キーワード貨幣 / 非決定性 / マッチング
研究概要

当該年度は、貨幣的均衡に関し以下の研究を行った。まず、ランダム・マッチングモデルの一般的性質を分析し貨幣的均衡解の大域的性質を明らかにした。具体的には、これまでのlabor search, money searchなどのすべてのサーチモデルを包含するモデルを提示し、その均衡解を非線形停留点問題の解として分析した。その結果、非常に弱い条件の下で均衡解が存在することが証明された。また、貨幣的取引に着目するとある種の恒等式(ある種の保存則)が均衡条件の中に隠されていることを発見した。これを使うと、均衡解の集合は正則性を満す限りにおいて一次元多様体になることを示した。また、正則性が一部で満たされなければ代数多様体の構造を持つことを例示した。また、この多様体の端点は非常に特殊な構造を持っており、貨幣的均衡の性質を議論する際に有用であることを示した。(例えば、price dispersionの存在証明に使えると思われる。)次に、貨幣サーチモデルにおいて、value functionが貨幣量について狭義単調増加で貨幣保有分布のサポートが連続体である場合には定常均衡は有限個である、という予想(Wallace予想と呼ばれる)について研究した。その結果、この予想は否定的に解決されることが分かった。つまり、value functionが貨幣量について狭義単調増加かつ貨幣保有分布のサポートが連続体であるにもかかわらず、定常均衡集合が連続体であるケースを発見した。また、これらの均衡はいわゆるcommodity money refinementを行っても生き残ることを示した。すなわち、貨幣そのものが効用を持つケースでの均衡を考え、効用をゼロに収束させたときの極限にこれらの均衡はなっていることを示した。この結果は、貨幣経済の本質を明らかにしたものであり、この分野での重要な貢献と考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Matching Models with a Conservation Law : The Existence and Global Structure of the Set of Stationary Equilibria2009

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Kamiya, Dolf Talman
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Economics Vol.45

      ページ: 397-413

    • 査読あり
  • [学会発表] Hysteresis in Dynamic General Equilibrium Models with Cash-in-Advance Constraints2009

    • 学会等名
      General Equilibrium Theory Workshop in Asia (GETA 2009)
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2009-07-31

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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