研究概要 |
本研究では,国際金融モデルを活用しながら,双方向の資金循環が生じるような状況を考察するとともに,その資金循環が資源やリスク、とりわけカタストロフィックなリスクの配分にもたらす効果を分析している。特に,相手国に対する債権と債務から成る両建ての対外ポートフォリオ,すなわち,レバレッジをかけて資産を構築するポートフォリオが持つ経済学的な効果を明らかにしている。 国際間で取引されている金融資産(国際的流動性)が担保として必要となってくる場合に,自然災害や疫病,あるいは,テロなどのカタストロフィックなリスクが国際間でどこまでリスクシェアリングできるのかを理論的に分析してきた。そこで得られた主要な結果は,担保制約があるにもかかわらず,2国間で双方向の活発な資金取引を行うことによって,両国のバランスシートが拡大するとともに,担保にできる国際的流動性が内生的に拡大し,カタストロフィックリスクを円滑にシェアリングできることを明らかにしている。 また、個々の経済主体にとってカタストロフィックなリスクのシェアリングについては、国際間ばかりでなく、世代間や国内の経済主体間でのリスク配分についても理論的、実証的に分析を進める。
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