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2009 年度 実績報告書

教育制度と金融市場の不完全性が経済成長及び所得格差に与える影響に関する理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530152
研究機関神戸大学

研究代表者

中村 保  神戸大学, 経済学研究科, 教授 (00237413)

研究分担者 高見 博之  大分大学, 経済学部, 教授 (10264326)
キーワード所得格差 / 教育費 / 外部性 / 補助金
研究概要

低所得者の所得水準が上昇しない原因の一つとして、その労働供給曲線の特殊性が挙げられている。つまり、賃金が非常に低い時にさらに賃金が低下すると、それまでの所得水準を維持しようとしてむしろ労働供給を増やしてしまい、それが全体として賃金を引き下げ、個人の所得水準をかえって減少させるというものである。従来の研究ではこのような労働供給行動をうまく説明できなかったのに対して、かなり妥当な仮定の下で、高賃金率の下でのみならず低賃金率の下でも右下がりになる労働供給曲線を導出した。
Maoz&Moav(1999)の代表的な研究をはじめとして、経済成長と所得格差を分析した多くの研究では、所得水準が増えるとともに、所得に占める教育費のシェアが減少する、あるいは一定である、と仮定されている。しかし、これは実証研究の結果とは必ずしも整合的でない。そこで、Maoz&Moavのモデルを再度詳細に分析した結果、所得に占める教育費のシェアが所得の増加にともなって上昇する場合、所得格差と所得水準が定常均衡へ向かって単調に収束していくという彼らの結論は成り立たず、それらが循環的に変動することが分かった。
人的資本の特徴として、物的資本に比べてそれがより大きな外部効果を持つ点が指摘されてきた。外部性が存在する場合、競争均衡は一般にパレート最適にならないので、政府が介入して効率性を改善する可能性が生じる。そのための政策手段として学習や教育への補助金が考えられている。従来の研究では、モデルごとにその動学的体系を詳細に調べて最適な補助金を見つけるという方法がとられているのに対して、最適な補助金を見つけるための簡単で有用なルールを人的資本蓄積モデルを用いて示した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A Complete Characterization of the Inverted S-shaped Labor Supply Curve2010

    • 著者名/発表者名
      Tamotsu Nakamura, Yu Murayama
    • 雑誌名

      Metroeoconomica (近刊)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 人的資本蓄積モデルにお万る生産の外部性と補助金政策2010

    • 著者名/発表者名
      中村保
    • 雑誌名

      国民経済学雑誌 (近刊)

  • [雑誌論文] Between- and within-group wage inequalities, and the advent of new technology2009

    • 著者名/発表者名
      Miyake Atsushi, Kazunobu Muro, Tamotsu Nakamura, Masaya Yasuoka
    • 雑誌名

      The Journal of Economic Inequality Vol.7. No.4

      ページ: 387-394

    • 査読あり
  • [学会発表] Education Cost, Intergenerational Mobility, and Income Inequality2009

    • 著者名/発表者名
      中村保
    • 学会等名
      The All China Economics(ACE)International Conference
    • 発表場所
      City University of Hong Kong(HONG KONG)
    • 年月日
      2009-12-16
  • [学会発表] Education Cost, Intergenerational Mobility, and Income Inequality2009

    • 著者名/発表者名
      中村保
    • 学会等名
      Korean Economics and Business Association 2009 International Conference
    • 発表場所
      Chonnam National University(Yoesu Campus)(KOREA)
    • 年月日
      2009-10-30

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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