研究課題/領域番号 |
19530154
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
今井 亮一 九州大学, 留学生センター, 准教授 (10298507)
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研究分担者 |
工藤 教孝 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80334598)
佐々木 勝 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (10340647)
清水 崇 関西大学, 経済学部, 准教授 (80323468)
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キーワード | サーチ / マッチング / 貨幣 / 労働 / 分権的取引 |
研究概要 |
今井は、「A Search Model of the Lost Generation」において、サーチ理論による二部労働市場のモデルを作り、転職の有無や部門間の税制上の取り扱いの違いが、労働者の雇用分布・失業率に与える影響を考察した。その結果、社会保険料等の企業負担分の軽減とそれにともなう消費税等の増税が、通常予想されるように正規雇用を増やし非正規雇用を減らす効果を必ずしも持たないことなどが示された。 工藤は、「Employment and Hours of Work」において、企業が複数の労働者を雇用する場合の、動学的調整モデルを定式化した。通常、サーチモデルでは、企業の求人は一人の労働者しか雇えないという制約の下で分析を行う。一つの求人で複数の労働者を雇うというモデルは分析が複雑になり、操作が容易で応用範囲の広いモデルの考案が求められている。 佐々木は、「Unemployment and Workplace Safety」において、サーチモデルを用いて、企業の安全性投資を考察した。通常、製造業、建設業などにおける(社会保険請求件数などで測られた)事故件数と失業率とは、負の相関を示している。これは、生産性が上がる好況時には、経験の少ない労働者の雇用も、企業の安全投資もともに増える傾向がある。前者は事故件数を増やし、後者は減らすと考えられるが、現実に観測される景気と事故件数の正の相関は、前者の効果が後者を上回っていることを示唆している。 清水は、(Search Theory Conferenceではなく通常の例会で発表された)「Exit and Voice in a Marriage Market」において、離婚が内生的に決まるモデルを考案した。これまでの離婚モデルとは異なり、継続、離婚のほかに、協力(Voice)という状態を明示して、興味深い性質を導出した。
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