研究概要 |
本研究の目的は,経済主体間に情報格差が存在する場合の経済主体の戦略的行動と協調的行動の相互作用が,経済の制度や組織にどのようなインプリケーションをもたらすのかをゲーム理論的に分析することにある。特に,個々の経済主体が異なる情報を持って行動するような状況における戦略的行動と協調的行動の相互作用と,経済主体全体の情報構造の関係を分析することを目標としている。 本研究計画の特徴を分析上の枠組みから言えば,経済制度あるいは経済組織に関する下記の諸問題を,経済構成員間の戦略的な協力ゲームとして表現し分析を行う点にあり,特に,各意思決定主体の問で保有する情報に格差が存在する場合の情報構造との関連で分析する点にある,研究期間中に考察する具体的な研究テーマとして,以下3つの課題がある,1)ベイジアン経済におけるゲーム解の分析,2)経済における情報伝達プロセスもしくは情報のアップデートと解概念の研究,3)情報のネットワークを伴う経済制度分析とシステム分析への適用,である。 H19年度は,1)ベイジアン経済における協力的戦略ゲーム解の分析と経済における情報のアップデートを解概念に組み込んだ均衡概念の導入の意義とその方法に関する理解の深化,2)経済における情報伝達プロセスもしくは情報のアップデートと解概念の研究,3)大きなベイジアン経済における協力的戦略ゲーム解の分析,を理論的作業の目標とし,作業を進めた。2)と3)については,未だ進行中のものもあり,既に発表した成果以外については,今後,順次,とりまとめを完成させて行く予定である。
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