本年度は3年間に及ぶ研究の最終年なので、これまでに得た成果や知見を論文や報告レジュメ等の形でまとめると共に、できる限り各大学のセミナー等での発表等を行うように努めた。 まず、拒否付き投票ゲームにおける投票力指数の計算や性質を調べる問題については、拒否権が投票制度に組み込まれる歴史的経緯などを踏まえたうえで、拒否権付き投票ゲームと拒否権のない投票ゲームとの関連を明らかにすることなどについて、2009年11月の早稲田大学理工学術院におけるセミナーおよび2010年1月の商学学術院のセミナーにて大学院生との共同発表を行った。 また、2009年8月にはマッチングモデルをメカニズムデザインの観点から位置づける論文を公刊した。さらに、複数財を伴う単峯性選好環境での資源配分メカニズムの設計問題に関しては、財の数と人の数がいずれも2以上の場合に、次善の最適性基準によって実現する配分の効率性を評価することによって、戦略的操作不可能性と公平性(egalitarian rationality : ER)を満たす次普最適な資源配分ルールが存在することを示し、さらに財の数が2以上で、人の数が2である場合には、ユニフォーム・ルールが戦略的操作不可能性、次善最適性、ERおよびピーク依存性(peak-onliness)をみたす唯一の解であることを示す共同論文を完成させ、学術誌への投稿準備を行っている。さらに当該論文を神戸大学経済経営研究所よりの招待で実施されたセミナー、およびバルセロナ自治大学、マラが大学(以上、スペイン)、さらにロチェスター大学(アメリカ合衆国)のセミナーで発表した。
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