研究概要 |
数理社会学的に容認できる仮定をモデルに科して,証明をし易くした.関数方程式論を専門とする田畑と数理社会学を専門とする高木・顧が,人口爆発モデルを関数方程式論の立場から十分に検討した.また、非線形Fokker-Planck方程式の解は,社会力学のmaster方程式の解と,時間局所的に幾何学的相似であることが知られているが,人口爆発モデルは数理生物モデルに似ていると予想していた.しかし基盤研究(C)理論経済学「少子化に伴う労働人口減少に関する経済分析のための複雑系数理経済モデルの構築」(代表者:高木,分担者:田畑)において多くの数値実験を行った結果,このような幾何学的相似は時間局所的にしか成立せず,人口爆発が起きる場合は2つのモデルの挙動は時間大域的には全く違ったものになることを発見し,研究目的の要旨で述べた命題を予想するに至った.しかし,この数値実験は,理論経済学への応用を目的としており,モデルのパラメータの範囲が制限されている.そこで,この制限を緩めて数値実験を行った.もしも制限を緩めた場合に予想命題が成立しないならば,パラメータの範囲を制限した命題を新たな予想命題とした.社会力学のmaster方程式の数値実験には長い時間を要するので,研究代表者によって開発された方法を使って計算効率を高めた.これらの数値計算は,いままで同方程式の数値解析を行ってきた田畑が行った.高木・顧が数値実験結果を数理社会学の立場から検討した.
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