研究概要 |
本研究の目的は,ベイズ法による動学的多変量離散選択モデルの推定方法の開発とその経済データへの応用である.離散選択モデルのベイズ法による推定方法に関しては,今日まで多数の研究がなされてきたが,パネル・データに対応した動学的多変量順序データモデルの推定を試みた文献は今までにそれほど多くない.そこで,本研究の目的の1つは,パネル・データを用いた動学的多変量順序データモデルのベイズ推定の方法を開発することにある.また,本研究で開発したベイズ手法を実際の経済パネル・データに適用することで,単に統計的手法の開発にとどまらず,その実行可能性を明らかにする.以上により,経済パネル・データ及び経済サーベイ・データを用いて離散選択モデルの実証分析を行う多くの分野に貢献できる. 具体的には,平成21年度は,ベイズ法による順序プロビットモデルを用いて以下の分析を行った.1)『平成14年度来道観光客(満足度)調査報告書』の個票データを用いて,来道観光客の食事に関する満足度について順序プロビットモデルを用いた分析を行った論文「観光客の期待と満足度」が『消費者行動研究』への掲載が決定した.2)World Values Surveyの各国データに適用し,その推定結果に基づく幸福度の不平等指数を考案した.研究成果はディスカッション・ペーパーにまとめ,専門誌に投稿中である.3)月本版General Social Surveys(JGSS)のデータを用いて主観的健康状態の分析を行うとともに,主観的健康状態の不平等度を計測する指標を開発した.研究成果はディスカッション・ペーパーにまとめ,現在,専門誌に投稿中である.また,研究成果を日本福祉大学の愛知老年学的評価研究の研究会で発表した.4)JGSSのデータを用いて主観的健康状態と貧困の関係を分析した.5)JGSSのデータを用いて主観的社会的地位と貧困との関係を分析した.4)と5)については,現在得られた研究成果をディスカッション・ペーパーにまとめる作業を行っている.
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