研究課題
モヴシュクの研究では、ライフサイクル仮説に基づく貯蓄行動分析に関し、年齢効果に注目した新手法を提案した上で、6カ国(日本、米国、英国、イタリア、台湾、タイ)の家計調査ミクロデータを用いて比較分析した。この研究はノンパラメトリック分析であり、伝統的な先行研究結果と比較し、理論的な年齢効果に対してこの新手法がより適合していると判明した。澤田の研究では、日本と韓国で発生した1997〜98年における金融部門の危機が、家計の厚生水準に対して与えた悪影響について、Kang and Sawada が開発した手法の拡張とその分析枠組みに基づいた実証分析を行った。より具体的には、分析の枠組みとして、消費オイラー方程式の推計、すなわち、消費に関するライフサイクル=恒常所得仮説の必要条件の検定方法をまず用いる。その上で流動性制約に関するラグランジュ乗数の大きさを推計し、金融危機がもたらした限界効用のコストを推計する手法を考案した。この手法を韓国・日本の金融危機データに適用した場合の推計を行った。所得下位10%のグループについては、韓国の場合には30%もの限界効用ロス(上昇)があり、日本の場合には約10%のロスがあった。これらの推計結果は、世界銀行が2008年2月15日に開催したワークショップ、「Workshop on Macro Risks and Micro Responses」において報告された。
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