日本の消費者行動に関して、家計調査と金融資産価格を利用した分析の拡張を行った。この分析は消費-資産価格モデルと呼ばれるが、従来の研究では確率割引要素として消費総額を考慮するのが通常であった。しかし今回の分析では、消費総額を分割して、多費目に拡張した。その目的は、消費総額に含まれている個別消費の性質を考慮すると、所得効果や相対価格効果によって、個別消費の構成自体が変化するという観測事実が消費分析の結果から確認されているからである。この分析は現在リバイズという形で国際ジャーナルからの評価待ちである。 ヨーロッパに関連した分析に関しては、さらに新しいデータが加わり、このデータの解析を中心に分析を行っている。このデータを使った実証分析結果に関しては、さらに深くい考察が必要となっている。この点に関しては、翌年度の中心的な実証分析プログラムの一環となる。さらなる今後の分析を待たなくてはならない。 アメリカデータに関しても、アメリカ合衆国労働統計局で作成されたデータに関して解析を進めているところである。この分析結果についても、今後の分析を待たなくてはならないだろう。 さらに、消費者の需要行動と企業の供給行動に関して、寡占市場をいう枠組みの下、ナッシュ均衡をベースにしたシミュレーション分析を行ったが、この論文は国際ジャーナルにアクセプトされた。このようなシミュレーションモデルは、今後の市場の在り方を模索するうえで、政策インプリケーションを持つと考えられる。
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