本年度はアメリカ合衆国のConsumer Expenditure Surveyを利用した分析結果を査読付英文ジャーナルの公刊した。論文の内容は、実証分析の基礎となる経済統計の精度について統計実施者の観点からではなく、統計利用者の観点から経済理論に基づいて分析したものである。理論仮説として、Misreporting仮説をたて、その検証を行った。また今年度は、経済の実証分析を30年以上にわたり行ってきた経験をもとに、英語で書かれた大学院レベルの教科書をRoutledgeから公刊した。この教科書はRoutledge Advanced Text in Economics and Financeシリーズの1冊としてRoutledgeの教科書シリーズに加えられた。この本は説明のためのデータをモンテカルロ法によって求め、従来の計量経済学テキストにはない特徴を持っている。また、消費者行動を考察する際には常に市場のあり方を念頭におく必要がある。現代経済に大きな役割を持つ市場として寡占市場があるが、2011年と2011年にMathematics and Computers in Simulationという査読付英文ジャーナルにナッシュ均衡の考え方を取り入れた寡占市場のシミュレーションモデルを2編公刊した。これら、査読付英文ジャーナルの3本、大学院レベルの英文による計量経済学教科書をRoutledgeから公刊できたことは、学会のためにも少なからず貢献をしたのではないかと思われる。具体的な内容の詳細についてはここのペーパーや著書を参照してほしい。
|