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2008 年度 実績報告書

日本の住宅金融市場における信用割当と家計の持家取得行動の実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 19530191
研究機関神奈川大学

研究代表者

森泉 陽子  神奈川大学, 経済学部, 教授 (20166383)

キーワード住宅金融(住宅ローン) / 信用割当関数 / 住宅購入関数 / 質的変数の同時推定 / MDE(最小距離推定) / 住宅購入タイミング関数 / 住宅維持・修繕行動 / 消費のスムージング
研究概要

住宅金融市場における信用割当は当該市場のみならず資本市場、ひいては住宅市場にも大きな影響を及ぼす。信用割当を受け住宅ローンを拒否された家計は住宅購入を諦める場合が多く、また希望額の融資を受けられなかった家計は購入時期を遅らせたり、住宅購入額を下げたりすることが多い。前者は住宅着工戸数の減少、後者は住宅投資の減少を通じて住宅市場を低迷させる。さらに住宅購入額の減少は住宅の質の低下を招くことから、信用割当は良質な住宅ストック形成の阻害要因といえる。
また、住宅投資が景気の牽引役であることを鑑みると、信用割当はマクロ経済浮揚の足枷となると言えよう。近年のサブ・プライム問題による住宅投資の激減から見ても信用割当の家計の住宅購入へ及ぼす影響の大きさを数量的に推定することは、政策的観点からも喫緊の課題である。
本研究では、信用割当と住宅購入額、購入時期の3つの構造方程式を同時推定(MDE)することにより、信用割当確率が1%上昇すると購入額は1%以上減少し(弾性値-1.72)、1年以内に購入計画を持つ家計数は1%以上も減少する(弾性値-1.92)ことが示された。即ち信用割当の強化は住宅着工数と住宅投資の大幅な減少を招く。
さらに信用割当を含んだ借入制約が住宅の質に及ぼす影響について、持家保有者の住宅の維持・修繕行動の観点から実証分析を行った。持家保有者は所得の変動に直面したとき、住宅以外の消費を賄うために住宅の維持・修繕支出をそのバッファーとして利用する。アメリカではこの効果は大きい。
しかし、日本では借入制約下にある住宅ローン保有者はローン支払い・償還を優先するために、このバッファー効果が弱い。つまり、このようなローン保有者は最適消費も住宅の質を維持することができない。このことは、良質の住宅の確保という観点から今後の住宅政策に示唆を与えるものである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2008

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Smoothing Consumption Fluctuations through Household Decision on Home Expenditure in Japan2008

    • 著者名/発表者名
      Piyush Tiwari
    • 学会等名
      Asian-Pacific Real Estate Research Symposium
    • 発表場所
      Tsinghua University, Beijing, China
    • 年月日
      2008-07-10

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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