研究概要 |
本研究は,2004年の「EU東方拡大」を前後する時期に進展した中・東欧地域への自動車製造拠点の拡大が欧州全体の自動車生産システムにどのようなインパクトをもたらすのかという観点から,現代欧州における自動車生産ネットワーク形成や域内分業構造の変化について検討を加えることを目的としている。平成19年度は,「地域間分業の実態把握とその機能分業上の意味の解明」を個別研究課題とし,欧州の主要な自動車産業集積各地域における製造品目,部品メーカーの分布状況等生産事業の概要を調べ,欧州自動車生産分業体制の実状把握につとめてきた。研究期間め制約(追加採択による研究開始時期のずれ込み)に鑑み,同年度を主に調査・分析期間と位置づけ,(1)研究の遂行に必要なデータ・文献・資料等の収集と(2)現地調査の実施に取り組んだ。 (1)国内史資料め整備水準の向上を意識的に追求しつつ研究課題に関する基礎的な文献・資料等の収集と解析に集中して取り組み,内外の研究動向と最新の研究成果を把握した。 (2)研究課題の遂行には欧州各地域の生産動向や製造拠点の再編について具体的な事実に基づく分析を加えることが欠かせないため,欧州現地調査を実施した。欧州連合主要機関の広報・資料室(ブリュッセル・フランクフルト等)を訪問し,現下EUの政策展開動向に関するデータ・資料の収集に取り組むとともに,ジェトロ(日本貿易振興機構)の現地センター・事務所(ブリュッセル,ミュンヘン)におけるブリーフィングの実施,現地自動車企業ならびに日系進出企業(フォルクスワーゲン,デンソー・チェコ等)の工場見学・ヒヤリング調査をつうじて,欧州の生産ネットワーク動向に関する実態把握と最新情報・研究成果の吸収につとめた。
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