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日本の国際収支の中でも、特に、貿易取引の状況に着目し、実証分析を中心に研究を行った。その中で、実質実効為替レートと貿易収支の相互相関係数が、ラグやリードとともに、Jカーブを含むSカーブの形状を示すことが明らかになった。この点は、データの特性や加工方法などを含め、さらに検討していきたい。このように、貿易収支の量的な変動に着目するとともに、以下のように、貿易価格の変動とその影響にも分析を進めた。1つは、輸入物価指数を利用し、水産加工原料における輸入価格について、契約通貨の多くがドル建てであることを見出し、契約通貨建て輸入価格の変動と為替レートの変動がどのように円建て輸入価格に影響を与えているかを統計的に分析した。この研究結果は、福島大学研究年報に掲載した。2つ目は、主要なマクロ統計と貿易統計を利用し、貿易取引における契約通貨の決定を、品目別に統計的検証を行った。その際、国際経済学で広く使用されているRauchの分類を使用することで、契約通貨決定理論と、ほぼ、整合的な結果を得ることが出来た。この研究はく日本経済学会で報告し、その後、福島大学ディスカッションペーパーにまとめた。所得収支については、国際収支発展段階説の視点からその特徴を調べたが、所得収支の大きさは、貿易収支より大きいものの、その内訳の所得受取や所得支払いは、輸出や輸入よりは少なく、その利回りについては、近年、低下していることが明らかになった。さらに、時系列データの研究を深めるために、X-12などの季節調整の方法やレベルシフトの統計的扱いについても検討を進めた。
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