研究課題/領域番号 |
19530196
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
長島 正治 埼玉大学, 経済学部, 教授 (70228013)
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研究分担者 |
貝山 道博 山形大学, 人文学部, 教授 (40096392)
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キーワード | 法定最低賃金 / 農業生産性 / 部門間労働移動 / ハリス=トダロー経済 / 期待賃金 / ウボン・ラチャータニー / タイ東北地方 / 賃金格差 |
研究概要 |
平成20年度は、前年度(平成19年度)に作成したタイ東北部ウボーン・ラチャータニー地方を中心とした労働・雇用に関する諸データ・ベース、人口動態に関するデータ・べ一スおよび当該地域の経済環境に関する諸データ・ベースを用いて、国内労働移動形態の変化を計量経済学的手法を用いて解析することに研究の主眼が置かれた。具体的には、経済地理学で用いられる労働移動の重力モデルを基に、タイ国内における農村部から都市部への労働移動における移動メカニズムとHarris and Todaro (1970) の労働移動メカニズムの適合可能性について、最小二乗推計による回帰分析を中心とした解析が行われた。1995年から2000年の5年間について、タイ北部、タイ南部、タイ東北部およびタイ中部から首都バンコックとその周辺5県への現住地の変更を伴う労働移動をした就業者数のデータを用いた推計によって、国内労働移動の重力モデルおよびHarris and Todaro (1970) における移動メカニズムがタイ国内で適合していることが分析によって裏付けられた。 これらの分析により、タイ国における農村部から都市部への国内労働移動が活発である最大の要因は、地域間の経済格差であることが判明した。特に、労働力の一大供給地としての役割を果たしてきた東北部における農業生産性の低迷とそれに起因する雇用面における当該地域の産業構造変化の遅れが、硬直的な賃金格差により誘発される国内労働移動を活発化させてきた要因であることが、本研究により明らかとなった。同時に、東北部の農業部門が均えろ問題点が労働集約的た伝統的な生産活動からの未脱却にある点も浮き彫りにされた。
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