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2008 年度 実績報告書

若年無業の発生と移行に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19530200
研究機関東京大学

研究代表者

玄田 有史  東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90245366)

研究分担者 佐藤 香  東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (10313355)
キーワード経済政策 / 社会学 / 二ート / キャリア教育 / 自立支援
研究概要

若年者の無業からの脱却には、段階的に無業から非正規へ移行し、その上で非正規から正規への移行を実現するのが現実的である。このような観点を踏まえて、無業者が非正規に移行した場合、その後どのような環境整備が状況のさらなる改善につながるかを実証分析した。
そこで転職による雇用形態間の移動に関する日本で最大規模のサンプルサイズを確保する、総務省統計局『就業構造基本調査』(2002年)を用いて、前職が非正規社員だった離職者について、正社員への移行を規定する要因を分析した。その結果、家事等とのバランスや年齢を理由とした労働供給上の制約が、正社員への移行を抑制している証左が、まず得られた。同時に、失業率の低い地域ほど移行が容易となる他、医療・福祉分野、高学歴者等、専門姓に基づく個別の労働需要の強さが、正社員への移行を左右することも併せて確認された。その上で最も重要な発見として、非正規雇用としての離職前2年から5年程度の同一企業における継続就業経験は、正社員への移行を有利にすることが明らかとなった。その事実は、非正規から正規への移行には、労働需給要因に加え、一定期間の継続就業の経歴が、潜在能力や定着性向に関する指標となっているというシグナリング仮説と整合的である。正規化に関するシグナリング効果は、労働市場の需給に関与する政策と並び、非正規雇用者が短期問で離職を繰り返すのを防止する労働政策の必要性を示唆している。
その他、非正規雇用のなかにも、企業内訓練を通じて経験に応じた収入が支払われる年功的処遇及び能力に応じた選抜的処遇が行われている事実が存在することを発見する研究も行った。さらには無業者を含む格差が話題になるが、本来格差とは何かを経済学的に再検討した研究論文も発表した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 前職が非正社員だった離職者の正社員への移行について2009

    • 著者名/発表者名
      玄田有史
    • 雑誌名

      日本労働研究雑誌 580号

      ページ: 61-77

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 内部労働市場下位層としての非正規2008

    • 著者名/発表者名
      玄田有史
    • 雑誌名

      経済研究 第59巻4

      ページ: 340-356

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 格差問題に取り組むために必要なこと2008

    • 著者名/発表者名
      玄田有史
    • 雑誌名

      法律時報 80巻

      ページ: 17-22

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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