研究概要 |
1) 基本特許、上流特許、まとめて複数の特許や著作件を使用する必要がある場合(IP bundle,知財群)の活用が目的で提案または実際に存在する機関を機能と所有形態に応じて分類した。まず、機能別ではI)情報の提供(データベースなどのエクスチェインジ[exchange])II)取引援助(ライセンス仲介や直接ライセンスを行う知財群団体[Collective Rights Organization]の区別があり、所有形態ではA)知財所有者による団体(標準化団体など)とB)第三者(一部パテントプール)がある。("Intellectual Property Access Systems", R&D Management, 2008) 2) 複数の標準がそれぞれパテントプールを形成した場合のパテントプールの安定性と社会厚生への影響を考える。この場合、特許所有者の行動には標準内の効果と標準間の効果とがる。両効果の方向と優劣は標準が競合的(competing)または互換性(compatible)の度合いによって異なる。競合的標準の場合はパテントプールから脱落した時の効果が小さくなり、プールは安定的になる。プールの成立による社会厚生の増減も標準間の関係によって異なる。("Differentiated Standards and Patent Pools", CIS DP No.360) 3)第三者CROが上流技術特許群のライセンスを行う場合に、上流技術の開発投資インセンティブへの影響を分析した。影響はランセンス収入の分配ルールと特許間の代替性または補完性の度合いによる。特にランセンス収入の等分配を行うと、特許群の一括ライセンスは必須上流技術の開発投資を低下させる。一般に、上流特許の開発費用が高く、成功の確率が低い場合に特許群の一括ライセンスは社会厚生を増加させる。社会厚生を下げる特許群団体もありうるのでに政策上要注意である。("Intellectual Property Clearinghouses and Investment in R&D", CIS DP No.361)
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