知財群をまとめてライセンスする制度(パテントプール、Collective Rights Organizations)の川上、川下への影響を分析した論文を3本完成させた。 Differentiated Standards and Patent Poolsは特許群が補完的なものと代替的なものが共存する場合のパテントプールの価格と社会厚生を分析した。3大フィールドジャーナルの一つのウェブ版に掲載される。取引費用を軽減することはパテントプールの社会厚生を増加させる機能とされているが、"Intellectual Property Clearinghouses:The Effects of Reduced Transaction Costs in Licensing"では、特許の補完性が弱い場合は必ずしもそうでないことを示している。プールの価格制限の機能が取引費用軽減の効果よりも大きいため、パテントプールが社会厚生を減少させることがありうることを示している。これはInformation Economics and Policyに改定再審査を受ける。これらの論文は、他のパテントプールに関する大半の論文と同じく知財が既存とされ、創出については触れていない。つまり、既存論文は既に川上の投資によって創出された知財の川下の用途(投資または生産)のパテントプールの効率性を問題にしており、川上投資への影響は議論していない。その問題を分析しているのが"Collective Rights Organizations and Investment in Upstream R&D"である。パテントプールの投資への影響は知財の補完・代替性の他に川上の市場構造に依存していることを示した。本論文は海外の学会でも報告をし、査読雑誌への投稿を準備中である。
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