研究概要 |
本研究の目的は、きれいな空気のようなアメニティー価値を持ちながら、地球上のすべての人々がともに利用・保全し、将来世代の人々とも分かち合っていかなければならないオープン・アクセス環境資源の最適な管理、すなわち、持続的経済発展と世代間公正を達成するために、どのような政策が望ましいかについて研究することである。 空気や水、森林や湖沼のように国民にアメニティーを与え、かつ、ある程度再生可能な自然資源を含む開放経済を想定し、そこにおける動学的に効率的な資源の利用方法を検討した。資源の再生能力を増強させる技術や省エネルギー技術等が定常状態にある資源の存在量等にもたらす影響について研究し、その成果を論文OKUMURA R.and CAID.(2010)にまとめた。 一方、地球環境問題の解決に向けて現実性を帯びた解決策を提示することにあたって、横断性条件の定式化はその基礎となる。離散・連続動学最適化問題の数学的解析は長い歴史がありながら、横断性条件の定式化について、現時点で必ずしもコンセンサスを得ていない。厳密な数学解析により、無限計画期間における横断性条件の定式化についての新たな知見を論文OKUMURAR., CAID., and NITTA T.(2009)にまとめた。さらに、地球環境問題の真の解決に必要とされている、離散時間の割引かない無限期間動的計画問題の最適解を構築する手法を確立させ、CAI D.and NITTA T.(Joumal of Difference Equations and Applications、掲載決定)にまとめた。これ以外、MITTA T.and Y.PERAIRE (2009)、NITTA T.(2009)、KANAGAWA S., TCHIZAWA K., NITTA T.(2009)において、割引かない無限期間動的計画問題の最適解を解明するための数学的基礎をまとめている。
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