平成20年度は、昨年度に引き続き、生物多様性条約における、遺伝資源から発生する利益の南北間の衡平な配分をめぐる問題を、バイオプロスペクティングをもとに分析を行った。そして、利益配分率はR&Dへの貢献率に等しくなるべきであること、伝統的知識は、特に契約金に反映すべきであることを理論的に導いた。これは、 “On the Distribution of Benefits Arising From Bioprospecting Between the North and the South"として、16th EAERE Annual Conferenceで口頭発表した。 また、地球生態系と持続可能性について、「地球環境と持続可能性-強い持続可能性と弱い持続可能性」で、地球生態系のような本質的な自然資本と人間の福利の向上をめぐる問題について議論を行った。そこでは、強い持続可能性は経済学の議論からは導け出すことは一般には不可能だが、弱い持続可能性を前提しながらも本質的自然資本を減少させることなく将来世代に遺贈するための実際の方策を論じた。 森林保全の一策として、森林面積に応じて先進国から所有者へ二酸化炭素固定の役割について支払いがなされるときの森林の動態に与える効果について扱ったのが、 “Scale mismatches and their ecological and economic effects on landscapes: A spatially explicit moder"である。これは、現在議論されている生態系サービスへの支払い、あるいはREDDを理論的に評価するものとなっている。
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