患者にとって所有形態の異なる病院のサービスが完全代替かどうかについて実証研究を行った。 本研究、そして、非分配制約の有効性に関する理論研究のほとんどで、非分配制約は契約できない品質の低下を防ぐ上で有効と考えている。ところが、対象が契約・観察できない品質であるため、契約できない品質の差異を直接実証することはできない。そこで、患者が品質に差があると信じているかどうかという面から、契約できない品質の差異について間接的に実証研究を行うのが目的である。 目に見える属性をコントロールしたうえで、異なる病院のサービスが完全代替で無かったとすれば、見えない品質に差があると(信じていると)考えられる。本研究の理論モデルは、非分配制約のシグナル機能に注目しているため、むしろ患者が品質に差があると信じているかどうかという面こそ重要ともいえる。 今年度の実証分析では、安定した結果が得られていない。病院サービスは非常に多くの属性からなるため属性をコントロールすることが難しいこと、さらに、近年行われた制度変更などが結果を不安定にしているものと思われる。サンプル数、サンプル期間などを調整して、推定の改善を図る予定である。
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