本論文では1992〜2004年を対象に、中国から主要な二大市場である日本および米国へ向けた情報通信技術(ICT)製品の輸出の伸びを分析した。その結果、この間に年2桁の増加率を維持していたことが判明した。2004年には、日本および米国のICT製品輸入に占める中国の比率はそれぞれ26%、19%とトップを占めた。また、本論文では中国のICT製品輸出の急増がインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、タイなど他のアジア諸国の輸出を圧迫したかどうかも考察した。データを実証的に分析した結果、中国の急速な輸出増加はシンガポール、韓国、フィリピンには打撃となったが、マレーシアとタイへの影響は明確で、輸出品目により影響はまちまちだった。インドネシアについては、ICT製品輸出は中国と同じく拡大した。
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