平成21年度の研究では、家族に介護が必要となったときの休業形態の選択について分析を行った。20年度の研究で多項ロジットモデルによる推定を行い、雑誌に投稿を行ったとにろ、レフェリーからモデルが適切でない旨のアドバイスをちょうだいした。よって21年度は、介護のために仕事を休んだことがあるを1、ないを0とする変数を被説明変数にしたプロビット分析を行い、さらに介護休業制度、年休、欠勤のそれぞれを利用したを1、しないを0とする3つの変数を被説明変数としたプロビット分析を行った。 分析の結果、以下が明らかになった。(1)介護を主担するほど休業を取得し、欠勤する。(2)配偶者の労働時間が長いほど休業を取得し、配偶者が正社員、非正社員、無配偶の場合、1日単位の休業が選択される。(3)介護対象者が入院していると休業を選択し、介護休業制度と年休利用が促される。(4)介護者の年収が低いほど欠勤する。今後は、以上の結果を踏まえて、介護と仕事の両立を可能にする制度や政策を提案したい。 一方、介護保険実施前後で介護場所にどのような変化がみられるのか、分析結果をもまとめた。「介護サービス実態調査」を用いて、在宅介護の場合を1、病院・施設の場合を0とする変数を用いてプロビット分析を行い、さらに実施前後ともに在宅を0、実施前は在宅で実施後は病院・施設が1、実施前に病院・施設で実施後に在宅が2、実施前後ともに病院・施設が3の変数を用いて多項ロジット分析を行った。結果から、実施前は女性の方が在宅介護を促していたが、実施後は性別では有意な結果が得られていない。実施後は年収が高いほど病院・施設が促されているが、実施前は有意ではない。また、人口密度が低い地方ほど実施前は在宅で実施後は病院・施設が促されていることなどがわかった。
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