研究課題/領域番号 |
19530228
|
研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
豊田 利久 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (90030668)
|
研究分担者 |
張 南 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (20279061)
CZERKAWSKI Chris 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (20271596)
川畑 康治 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (10273806)
|
キーワード | 経済事情 / 東アジア / 国際資金循環 / アセアン(ASEAN) / アジア金融危機 / 通貨統合 / 後発途上国 / 工業化戦略 |
研究概要 |
日本、中国、韓国およびASEAN諸国を念頭に置いた東アジアを対象として、貿易と資金の連関に関する研究を行った。この地域はさまざまな多様性を包含しており、共同体の実現はかなり先の話であるが、経済的側面に限れば域内の相互依存は急速に進展しつつある。われわれの研究は、域内経済の相互依存の進展に関して貿易面と資金(資本移動)の双方から分析する点に特徴を有する。昨年度に引き続き、平成20年度は特に次の諸点の研究を行った。 1. 貯蓄・投資バランス、経常収支と貿易フロー及び国際資金フローという3つの側面を同時に扱う国際資金循環分析の分析枠組をさらに拡充するとともに、日中を中心とする東アジア及びアメリカの対外資金循環の特徴と問題点を明らかにし、グローバル・インバランスの原因と結果を整合的に分析した。 2. 域内貿易の活発化以上に急速に連関を増す金融面は、アジア金融危機の経験が示すような脆弱性を持つ。そこで、東アジアにおける金融・通貨の不安定性の諸要因を分析するとともに、通貨危機が伝播するメカニズムを理論的・実証的に分析した。 3. 後発ASEAN国の経済発展の遅れに見られる多様性の中で、東アジアにおける通貨統合の妥当性と非現実性を再検討した。特にラオスを事例に取り上げ、貿易と資金流出入を考慮したマクロモデルによるシミュレーションによって、実質為替レートの柔軟な調整がなければますます窮乏化することを示した。 4. 後発東アジア国の経済発展と貧困削減にとって、貿易による産業構造高度化の戦略が重要であることの再確認を、最近の理論および計量手法を用いて行った。
|