研究概要 |
国境を越えた地域経済統合が進む過程において地方間経済格差が縮小するものか,拡大するものか,特に,その過程に及ぼす多国籍企業の役割,意義を分析する本研究は,理論的,実証的に問題にアプローチすることが必要である.そのため,本研究は大枠三つの柱から成る.即ち,(1)客観的事実の確認,(2)理論的課題の析出,(3)実証的分析の三つである.以下,これら三つの柱に沿って説明をしていく(進捗状況,達成度,今後の方策についても同じ). (1)観的事実の確認は,公式統計の収集整理のみならず,EUにおいて展開している多国籍企業やEU加盟国の直接投資(FDI)誘致機関へのインタビュー調査によって果される. (2)理論的課題の析出は,EUが市場統合を基盤に進展してきていることから,従来の経済統合理論研究を批判的に検討することを通じて行われる.同時に,多国籍企業の立地理論を広くサーベイすることによって理論的課題を導く. (3)証的分析は,EU域内における地方レベルの経済条件と多国籍企業の立地状況の因果関係を計量的,定性的に検証することで,地域統合と経済格差の関係性を明らかにする.
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