資源問題については、欧州の垂直分離(unbundling)の動きに対して、資源国の垂直統合の動きが屹立している実態を明らかにした。資源問題はレント(超過利潤)に関連しており、その再配分をめぐっては国家による軍事力強化にも関連していることも明らかにした。つまり、資源と軍需産業は密接に関係していることになる。いずれも最近の動向をまとめた、国際的意義の深い研究成果であると自負している。その証拠に、とくにガスプロムというロシア国営企業の実態分析を行い、それを評価して、Harvard大学のGoldman教授が2008年に刊行したPetrostate(Oxford University Press)のなかで研究代表者である塩原を紹介してくれた。日本人で唯一、この学術書のなかで塩原が紹介されている。 資源と軍需産業および軍をめぐる問題については、『ネオKGB帝国』(東洋書店)において公表した。中国については、岩波書店から2009年6月に上梓する『「軍事大国」ロシアの虚実』のなかで、ロシアから中国への武器輸出、およびライセンス生産をめぐる技術移転問題という形で紹介する。いずれの研究も、日本では類例のない研究業績であり、高く評価されるものと期待している。 中国については、主として資源問題をロシアとの関係のなかで考察した。研究成果は『月刊エネルギー』のなかで公表されており、ほかにも上記の『ネオKGB帝国』において部分的に紹介されている。研究成果は関西電力のネットワーク研究会などで、私的に公表しており、一部の専門家は高く評価してくれている。
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