研究課題
本研究では、まず米国特許商標庁(USPTO)のデータベースから特許に関するデータを独自に2005年まで集計・加工。細分類されている米国特許商標庁の技術カテゴリーを国ごと、年ごとに46セクターに、次いで6セクターに集計することにより分析データを構築した。分析においては、東アジア経済(日本、韓国、シンガポール、台湾、中国、ASEAN4)各国の技術特化分野、技術集中度の推移、技術特化パターンの類似・相違、技術特化の程度の変化、イノベーション・システムの特性について顕示技術優位(RTA)指数、不偏ハーフィンダール・インデックス等の指標やガルトニアン回帰分析等の計量的な手法を用いて分析した。分析の結果、以下の結論を得た。(1)東アジア経済間の技術特化パターンは、これまでの技術蓄積を反映して多くの国・地域間で異なるパターンを示している。特に日本と他国・地域間の特化パターンの分岐は大きく、両者の間に補完的な特化パターンが存在する。また小国や発展レベルが低い場合に特化の程度が高い傾向がみられた。(2)東アジアの技術特化パターンは、1980年代後半までには10か国中8カ国でランダムなパターンから技術蓄積を反映した累積的、漸進的パターンへ移行した。一方、日本では1975-84年以降、それまでの累積的・漸進的なパターンから累積的かつ経路依存的な技術特化パターンへ移行した。フィリピンのみは全期間でランダムな技術特化パターンを維持している。(3)技術特化め程度の変化については、米国における特許の絶対数拡大と平行してほとんどの国・地域で広範囲の特化がみられた。また多くの国、地域で回帰効果がモビリティ効果を上回っていることより、技術特化の程度の低下が安定的な特化の部門パターンと平行して実現した。なお日本に関しては、経路依存的な技術特化パターンを反映して技術特化の程度はほとんど変化していない。
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University of Kitakyushu, Working Paper Series No.2007-6
ページ: 1-28
研究・技術計画学会学術大会要旨集
ページ: 218-221