研究課題
東アジア経済の技術特化パターンの変化、技術集中度と産業組織との関係をいくつかの指標を用いて実証的に明らかにした。先進国に偏ってきた分析を、東アジア地域について明らかにすることができたことは重要である。結果は以下の通りである。(1)様々な指標より、発展途上経済・小国ほど国際的に技術特化の程度が高く、国内次元でも技術が特定領域に集中していることが明らかとなった。一方、日本はいずれの値も低く、技術の多様化がみられた。(2)産業組織との関係でいえば、経済発展と共に現地企業取得の特許が厚みを増し、外資への依存度が小さな国・地域の技術集中度は低下する傾向がみられた(ただし、シンガポールのような小国・外資依存度が高い国の技術集中度は高い)。また中国、タイのように、発展途上国であっても特許取得に占める個人のウェイトが高い場合、技術の拡散・多様化がみられた。(3)部門レベルでの特化パターンの変化については大きく4つのパターンに分かれることがわかった。1)日本、香港、台湾が多くの部門で累積的な技術発展パターン(歴史経路依存的な技術進化)を経験しているのに対し、2)韓国、シンガポールは激しい技術変化を経験、3)中国、マレーシア、タイ、フィリピンは近年、新たな技術軌道を確立、4)インドネシアは未だに多くの部門で技術変化を経験していない。これらの背景には異なるイノベーション・システムがあると考えられる。これについては次年度明らかにしていきたい。
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Proceedings of 23th Annual Conference of the Japan Society for Science Policy and Research Management (TSSPRM)
ページ: 146-151
開発技術 Vol. 14
ページ: 91-108