本年度の主要な研究容は以下の3点である。 1.先行研究のサーベイ(文献調査) コミュニティビジネスや社会的起業についての先行研究のサーベイを行った。分析の理論的枠組みおよび実証研究に関するを整理し、コミュニティビジネスの系譜として市民活動におけるビジネス手法の取り入れと企業における社会的責任の追求という2つがあることを指摘した。また、生産から廃棄までの過程や主体が分断されている社会システムを克服することを目的としたリサイクルビジネスの振興が、それだけではうまく機能しないことを指摘し、その課題を抽出した。 2.先進的な環境コミュニティビジネスに対するフィールド調査 経済産業省の助成対象となっている環境コミュニティビジネスについて、その内容を整理するとともに、いくつかの事業についてはヒアリング調査を行った。また、エコタウンと連携しているNPOについてフィールド調査を行い、その成功要因と課題について分析した。 3.北九州エコタウンに立地する企業動向に関する調査 北九州エコタウンに立地している複数の企業については、NPOや地域団体との協同の動きが見られる。そこで3つの事例を取り上げ、そのねらいや活動内容についてヒアリング調査を行った。これを通じて、企業と市民活動領域の連携の可能性と課題についてとりまとめた。 なお、以上の研究成果の一部については論文として発表した(松永裕己「エコタウンにおける企業活動と市民活動の連携の可能性」『北九州市立大学マネジメント論集』1号、2008年、pp.61-76)。
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