研究課題
平成19年度においては、理論研究においては、は主として国内総需要をコントロールする手段としての金融政策・中央銀行制度のありかたという観点から研究を進めた。主として、以下の3点の成果を得た。 (1)輸出輸入・国際資本移動等を捨象したモデルにおいて金融政策が有効であることが明確となった。 (2)自然失業率仮説を前提とするフィリィップス曲線において,生産調整・期待の調整のいずれかに起因する調整の遅れが存在するはずであるが、それらの調整を考慮したモデルの導出を行った。なお、モデルの改良は次年度に継続して行う予定である。 (3)価格調整は将来を予測して行われるが、価格には非伸縮性が存在する場合には、上記(2)とほぼ平行した結論が得られる。とくに複数均衡の存在が確認できるが、どのような場合にそのうちの一つがデフレに対応するかは今後解明する必要がある。 (4)日本の金利決定について、日本銀行の公的な発表内容の検討や、各種の理論的研究の整理をおこなった。また、実証およびデータ分析としては、以下の3点の成果を得た。 (1)日本の金利決定がテーラールールにしたがってなされてきたとみなすと仮定したモデルの特定化と推定を試行した。 (2)(1)の推定結果をもととしたシミュレーションの方法も検討し、試行した。 (3)自然利子率・自然失業率の計測を試算した。その計測は、引き続き行う予定である。
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広島大学地域経済システム研究センター『地域経済研究』 19
ページ: 1-14
Working Papers, Faculty of Economics, Osaka Prefecture University