研究課題
松川は一連のモデルの政策的インプリケーションのまとめとして、インフレーションターゲッティングの効果について分析を行った。その結果、インフレーションターゲッティングはインフレ率の引き下げに際しては有効であるが、引き上げには有効でないとの結論を改めて得た。このテーマは数年前に、寡占的競争下の企業行動として研究したテーマであるが、今回はマクロモデルの枠組みの中で、より明確な結論を得た。この成果は、大阪府大DPとしてまとめた上で、日本の学会誌に投稿を予定している。また理論モデルの拡張については、投稿した論文に対するレフェリーのコメントを踏まえて、これまでの均衡の概念を、Evans & HonkapohjaによるE-stabilityの枠組みの中で再構成できるか検討を行った。E-stabilityでは、actual law of motionとperceived law of motionの間の収束性を問題とするが、現在検討中のモデルでは、中央銀行が選択するactual feedback ruleと、公衆のperceived feedback ruleの間の収束性を問題とするという点に相違があるが、いずれの収束性も同じ方法論により分析できることが判明した。瀧は上記のような理論研究を日本のデータに当てはめ、数量分析をおこなうために、動学的一般均衡モデルの構築をおこなっている。このモデルによるシミュレーション結果は、広島大学DPとしてまとめた上で、学会誌に投稿を予定している。岡村は日本のデータにおいて1994年以降をデフレ期とした実証分析を踏まえ金融政策の有効性について分析を進めている。松川の結果から、インフレかデフレかで金融政策の有効性は非対称で異なる政策反応関数を想定するのが妥当であると考えられる。そこで、非対称性を金融当局が暗黙にインフレーションターゲットを行っているという仮定で、計量分析を進めている。
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Mimeo, Faculty of Economics, Osaka Prefecture University 2010-1
ページ: 1-42