研究概要 |
本研究は,日本におけるReal-Timeデータのデータベース整備を体系的に行っている.これまで米国やイギリスなどの中央銀行,欧米の特定機関が自国のReal-Timeデータの整備を進めてきたものの,日本ではこれまでのところデータベースの構築は行われていない.本研究の目的は,主要景気指標(GDP(需要項目を含む))、鉱工業指数,労働関連統計,資本ストック統計)についてリアルタイムデータベースの構築を行い,また,日本におけるリアルタイムデータの特性について分析を行うことある. 平成20年度は,鉱工業指数(生産,出荷,在庫,在庫率)のリアルタイムデータから,鉱工業指数間の特性及び,米英の鉱工業指数の速報値との比較分析をおこなった.鉱工業指数については,季節調整系列は合理的な予測値ではなく,季節調整系列の速報値で政策判断や景気判断を行うことは最適とはいえない.この点は,先行研究において示された結論と同様である.また,米英の鉱工業指数との比較では,アメリカは合理的な予測値である一方,英国は日本と同様の結果となった.この背景には,速報段階で判明していない欠損値の処理方法(補間推計など),基礎統計の違い(物量ベースの統計か,労働投入量か)などに起因している可能性が示された.この点については,今後の研究を拡張していく上で,大きな示唆となった. また,サーベイデータにおける期待形成では,日米英の予測集計調査から,Publicity効果の計測,横並びについての定量的な分析を行っており,21年度に学会報告する予定である.
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