研究概要 |
2007年度は9月に援助受け入れ国であるケニア,ボツワナに出張し,政府関係者および現地の学者などにヒアリングを行った。その成果は"Development Assistance and Economic Growth:A Case Study of Botswana,"Musashi University Discussion Paper No.48として発表した(Social Science Research Networkの以下のサイトにおいても掲示中)。htt://aers.ssrn.com/so13/aers.cfm?abstract id=1099080 この論文では,アフリカの成功ケースとしてボツワナを取り上げ,経済発展において援助の果たした役割について分析した。その結論は,発展の初期段階において援助の貢献は認められるというものである。また,ボツワナの経済発展には良い「統治」が果たした役割も大きいことが確認された。 2月には,援助供与国であるデンマークの外務省,NGOおよびOECDに出張し,ヒアリングを行った。デンマークは世界で最も援助政策の評価が高い国であるが,その援助政策の考え方,具体的政策について調査を行った。その結果は現在取りまとめ中である。 この他にも途上国の統治指標としてドイツのシンクタンクが発表しているベルテルスマン改革指標について調査分析し,大学の紀要に「ベルテルスマン改革指標(BTI)について」として発表を行った。近年,開発援助が効果的であるためには受け入れ国の良い統治が必要との主張が数多く見受けられるが,各国の統治を指標化したものは数多くあり,その内容についても作成方法や問題点などが知られないままに実証研究などに使用されている。この論文では,当該指標の作成方法やその問題点を明らかにした。
|