研究課題
本年度は、課題として掲げた2点につき、下記の研究成果を得た。1.1980年代〜2006年における日米製造業のロジスティクス革新力(在庫率の稼働率弾力性で測定)を業種別に比較実証して、(1)米国では組み立て産業と素材産業の別なく、ロジスティクス革新力が高度なレベルに収斂するのに対し、我国では組み立て産業の素材産業に対する優位が際立っていること、(2)情報・物流のハードインフラのもつロジスティクス革新力でも米国が我国を上回っているが、しかし米国ではすでに高原状態に到達しており、ブレークスルーが必要であること、及び(3)3PL業による物流システム構築に向けた米国のソフトインフラの革新力は我国を上回っていること、を解明した。ビジネスモデル、ハードインフラ、及びソフトインフラの構築の3局面において、米国の製造業が我国に先行しているのである。この事実を踏まえて我国でなすべきロジスティクス政策を設計・実施する必要がある。2.米国、EU、アジアと日本の間の空運物流とコンテナ海運物流のサイクル変動に注目して、日本の物流サイクルの周期を実証的に推定し、国際物流のグローバルリンケージが日本経済の構造変化を誘発する仕組みを明らかにしている。まず物流サイクルの発生と波及のプロセスに関する仮説を、地域別空運物流分担率の因果連鎖構造と地域別コンテナ船物流分担率より推定実証して、そこから典型的循環として16年周期の対米物流循環を抽出した。その上で、それが実は3つの物流循環の構造的シフトによって形成されたものであると見れば、日本のいわゆる失われた10年とは、実は我が国製造業が潜在的革新期から成長期に至る進歩の10年であると評価せねばならないと結論している。
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交通学研究 52
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