平成20年度については平成19年度で得られた基礎的なサンプルの分析を元に、計量経済学的手法を用いた分析を行った。被説明変数は主観的な幸福度である。家計経済研究所「消費生活に関するパネル調査」についてはパネル分析が可能であることから、非線形パネルのOrdered Probitモデルによる推定を行った。大阪商業大学比較地域研究所JGSS事務局「Japanese General Social Surveys(JGSS)」については、クロスセクションのOrdered Probitモデルによる推定を行った。両者の推定により、生活上の変動の幸福度に与える限界効果を得ることができた。説明変数とする親族・地域のネットワークの有無、政策の効果については予備的なデータ分析を行った。加えて、子育てを生活上の変動ととらえ、子育てと幸福度との関係についての分析を行った。家計経済研究所「消費生活に関するパネル調査」は調査対象が20歳から40歳代の女性のみであることから、「少子化社会におけるワーク・ライフ・バランスと幸福感-非線形パネルによる推定」(内閣府ディスカッションペーパー)は女性のみの分析となっているが、大阪商業大学比較地域研究所JGSS事務局「Japanese General Social Surveys(JGSS)」の調査対象は男女、若年から高年齢層である。そこで、子育ての効用は妻と夫で同じかというテーマ設定のもとに、女性の幸福感(主観的幸福度、生活満足度)に対する子育ての影響をみて、所得・消費・婚姻関係はプラス、年齢と就業はマイナスの効果があり、子供数は主観的幸福度にはプラス、生活満足度にはマイナスの影響を与えるとの分析結果を得た。男性の幸福感に対して子育てが与える影響については、所得・年齢・就業とともに分析を行い、就業の影響が大きいとの知見を得た。
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