研究課題
日本における中長期金利の市場メカニズムを解明するため、(1)金利スワップスプレッドの決定要因を分析する、(2)日本国債市場と円金利スワップ市場の連動性と相互作用を分析する、(3)日銀の情報発信と市場金利、の3点から研究を遂行した。(1)については、標本全期間と標本を3分割(99年2月15日から00年8月11日、01年3月21日から06年3月9日、06年3月10日から07年11月30日)して分析した。標本期間全体では信用リスクの増加は、スワップスプレッドめ拡大要因であった。しかし、標本を分割すると、金融が緩和期であった前期、中期において、信用リスクの増加はスワップスプレッドの縮小要因であった。金融緩和期において、金融機関が収益をあげるために、金利スワップの受けポジションを増加させたことが、スプレッドの縮小要因であると考えられる。(2)については、標本を2分割して分析(94年1月4日から99年2月12日、99年2月15日から06年6月30日)した。標本の前半においては、日本国債と金利スワップは2年物、3年物、4年物、5年物、7年物、10年物が共変動を示したが、後半においては10年物の金利において、日本国債と金利スワップは市場分断を示していた。(3)07年1月から2月にかけての日銀による情報発信と市場金利の変動を分析した。分析期間を2回開催された金融政策決定会合(1月は利上げ見送り、2月は0.25%の利上げ)をベースにして2分割(06年12月20日から07年1月18日、07年1月19日から2月21日)した。前半においては、市場では金融政策変更に関する予想をべースに2年物、5年物、10年物のイールドカーブが形成された。一方、後半において、2年物の金利は、市場の予想を織り込んでいたが、5年物や10年物の金利は市場の予想を織り込む形で形成されることはなかった。
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Journal of Economics Niigata University 86号
ページ: 19-38
金融構造研究 30
ページ: 37-47
2008 Asian Finance Association/Nippon Finance Association International Conference Proceedings (CD-ROM)
http://wwwl.ocn.ne.jp/~tito/